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こんにちは!本を読みながら寝落ちするのも好きなYUKIです。
今回は宇山佳佑先生の「桜のような僕の恋人」をご紹介していきたいと思います。
今作はカメラマンの「晴人」と美容師の「美咲」の恋を描いた物語です。
「晴人」はまっすぐな性根でありながらもとても不器用で仕事も上手くいかず、デートもうまくいかない冴えない、けれどどこまでも素直な男性です。
「美咲」は両親を早くに無くし、兄と二人で生き、美容師としてデビューし始めた快活な女性です。
快活ながらも兄や晴人にも気を遣い、優しい嘘をついてしまう女の子です。
「切ないけれど爽やかな恋愛小説が読みたい」
「わかりやすいけれど現実感もちゃんとある物語が読みたい」
「恋人への気持ちがマンネリ化していて倦怠期に入っている」
そんな方にはオススメの一冊です。
本書のあらすじにも書かれているように、「美咲」は難病に発症してしまう切なさがあります。しかし、どこまでもまっすぐな「晴人」が、本来どこまでも暗くなってしまうストーリーに真正面から立ち向かうことで爽やかさを生んでいます。
また、恋愛小説でありながら、「美咲」の兄「貴司」との関わりもしっかりと描かれているので、わかりやすい内容でありながら現実感もしっかりある物語だと思いました。
また、「美咲」の発症した病気は人よりも早く老いる病気であるため、限られた時間を嫌でも意識しなければなりません。
だからこそ、その短い時間の中で諦めるもの、それでも手にしたいものを考えさせられます。
今回は今作の魅力を以下3点にまとめてお話ししていきたいと思います。
- 切ないながらも、まっすぐな爽やかなストーリー
- 恋愛を描きながらも、周囲の関係性も描くことで生まれるリアリティ
- 限られた時間を実感することで知る大切なもの
難病を抱える「美咲」を描きながらも「晴人」のまっすぐさを描いたストーリーは決して暗い雰囲気になることはなく爽やかさを感じます。
また、2人の関係性をベースにしつつも、「貴司」にフォーカスをあてることで物語全体にリアリティが生まれていて、入り込みやすくなっています。
そして時間が限られた難病を患っている「美咲」の心情や行動を描くことで、短い時間の中で「美咲」が本当に選び取りたいものを際立たせて書かれています。
ぜひ本記事を読んで今作の魅力を知っていただければ幸いです。
切ないながらも、まっすぐな爽やかなストーリー
前述の通り美容師の「美咲」は難病を発症します。
その「美咲」の絶望感、自分が積み上げてきたものを失う「喪失感」そして体も心の余裕も失い、周りにあたってしまうことで感じる「自責の念」。
そして「美咲」の兄である「貴司」も看病を続けることで、金銭的にも精神的にも、そして肉体的にも摩耗していきます。
これだけの状況を丁寧に描かれているので、読んでいるこちらまで辛くなってきます。
しかし、「晴人」のどこまでもまっすぐな性格に「美咲」も「貴司」も救われます。
どんな絶望的な状況であっても「美咲」のことを考え続ける姿勢に物語に爽やかさが生まれているように感じました。
もちろん「晴人」も傷つき絶望に打ちのめされているのですが、それでももがき続けるその姿勢に心を打たれます。
恋愛を描きながらも、周囲の関係性も描くことで生まれるリアリティ
今作では「美咲」と「晴人」の恋愛を描きながらも、「美咲」の兄である「貴司」にフォーカスをあてるシーンが多くあります。
「美咲」の過去どんな人間だったのか、看病している「美咲」に対してどう考えているのか、その上でどんな行動をしたのか、とても丁寧に描かれています。
また、兄の彼女である「綾乃」にもフォーカスをあて、「貴司」が「美咲」を必死に看病している姿に対しての感情の動き、「美咲」の変化に対する気持ちも丁寧に描いています。
このシーンがあるおかげで単なる恋愛物語ではなく、「美咲」と「晴人」を取り巻く人間模様を描く深みのある作品になっているのだと思います。
だからこそ読み進めれば読み進めるほど、どんどん感情移入してしまい最後には涙が止まらなくなります。
限られた時間を実感することで知る大切なもの
「美咲」は通常よりも年老いるのが早くなる難病を発症します。
限られた時間というものが嫌でも現れ、その現実に「美咲」もその周囲も絶望してしまいます。
しかし物語が進むにつれて、捨てなければならないもの、捨てられないものが際立って見えてきます。
これは難病に発症した「美咲」だけの話だけではないなと思いました。
人は必ず年老います。日々感じることのない「限られた時間」の中で私たちも生きています。
だからこそ私たちにも捨てなければならないもの、捨てられないものが必ずあります。
「美咲」は自分の限られた時間の中で大切なものを選んでいました。
得られなかったもの、得られるはずだったものをたくさん描いて、その葛藤や悲しみを丁寧に描いていたからこそ、残った大切なものはとても際立って綺麗に見えました。
ぜひ「美咲」が選んだものはなんだったのか、読んでいただきたいです。
まとめ
今作は切なくも爽やかな作品だと思います。
そして単なる恋愛を描いた物語ではなく、周囲の心情も丁寧に描くことで生まれる深みがあり、どんどん感情移入してしまいます。
今作の「美咲」を通して描かれる「限られた時間」は誰にでも当てはまっていることで、すごく考えさせられる作品だと思いました。
ぜひ気になった方は、お手に取って読んでみてください。
それでは良い読書ライフを!
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