こんにちは!石川県に以前旅行に行ったときに食べたのどぐろの美味しさが忘れられないYUKIです。
今回は能登半島応援チャリティ小説企画の「あえのがたり」をご紹介いたします。
まず能登半島地震に被災された方々へ心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復旧をお祈り申し上げます。
今作は2024年1月に起こった能登半島地震のチャリティ企画として生まれた作品です。
加藤シゲアキ先生、小川哲先生、今村翔吾先生が能登半島地震の復興に本を通して力になりたい、という思いから始まった今作。
加藤シゲアキ先生、朝井リョウ先生、今村昌弘先生、蝉谷めぐ実先生、荒木あかね先生、麻布競馬場先生、柚木麻子先生、小川哲先生、佐藤究先生、今村翔吾先生の短編小説をまとめた作品です。
「様々な先生の短編小説が集まったバラエティ豊かな読みたい」
「同じテーマながらも全く異なった物語が読みたい」
そんな方にはおすすめの一冊です。
今作は10名の先生方が作り上げた短編小説です。ページを進めるたびに全く新たな物語が展開されるので、ずっと新鮮な気持ちのまま読み進めることができます。
また、10名の先生方による能登という文化に絡めた作品や地震によって生まれる人々の思いの重なりが展開されます。しかしその間口はとても広いため、様々な視点から物語が生み出されています。
今回は「あえのがたり」を以下の2点にまとめて魅力をご紹介いたします。
- バラエティ豊かな短編小説
- 能登の文化や地震に対して広い間口で描かれた物語たち
10名の先生方の作品には全く異なった世界が描かれており、ページをめくるたびにどんどん新たな世界を教えてくれます。
また、能登の文化について描かれていたり、地震を通して生まれた人々の思いの重なりを描いています。
正直なところチャリティ企画として生まれた本なので、能登半島地震に関するストーリーがストレートに展開されていると思っていました。
実際に読んでみるとそんなことはなく、テーマの関連性は感じるものの、10名の先生方それぞれの個性がふんだんに詰め込まれていて、次はどんなお話しなんだろうとどんどんページをめくってしまいます。
ぜひ魅力をもっと知りたい方はもうしばらくお付き合いください。
さっそく読んでみたい方こちら。
『あえのがたり』(加藤 シゲアキ,今村 翔吾,小川 哲,佐藤 究,朝井 リョウ,柚木 麻子,荒木 あかね,今村 昌弘,蝉谷 めぐ実,麻布競馬場)|講談社
バラエティ豊かな短編小説
今作は加藤シゲアキ先生、小川哲先生、今村翔吾先生が能登半島地震復興に向けて本を通して力になりたいと思われたことから企画が始まったそうです。
そしてお声がかかった他7名の先生。朝井リョウ先生、今村昌弘先生、蝉谷めぐ実先生、荒木あかね先生、麻布競馬場先生、柚木麻子先生、佐藤究先生。
今回はそれぞれの先生が紡いだ物語を少しずつご紹介していきたいと思います。
「そこをみあげる」ー 加藤シゲアキ 先生
何かとうまくいかない人生を歩んできた男が全く知らない不幸な男を救う物語。人のつながりの偶然性に救われる感覚がありました。
「うらあり」ー 朝井リョウ先生
友人3人とある島に旅行に来た主人公。直接顔を合わせることで交わすことのできる物理的な距離とオンラインで交わすことのできる心の距離の対比を描いた物語。「おもてなし」というものを解剖しているような感覚になります。
「予約者のいないケーキ」- 今村昌弘 先生
電話予約を受けたけれど提供する相手を聞きそびれてしまい、注文相手が誰なのか探す物語。「おもてなし」にするために相手のことをきちんと理解することが描かれています。読み終えたときにおもてなしとは何なのか、考えさせられます。
「溶姫の赤門」- 蝉谷めぐ実 先生
加賀に嫁ぐことになったが、政略な故に格式に思い悩む「溶姫」。自分の好きなものを知ってもらいたいためにする「おもてなし」。おもてなしは決して格式ではなく、どちらかが良いものではなく、相互が幸せになるための手段であることを描いた物語。
「天使の足跡」- 荒木あかね 先生
夫と飼っていたミニブタを亡くしてしまった「明日香」。一方、すぐに無くなってしまう限定のアイスばかり買う娘の「来海」。二人の親子の大切なものと過ごす時間の価値観を繊細に描いたストーリー。別れる悲しみと共に過ごす喜びを再認識させられました。
「カレーパーティー」- 麻布競馬場 先生
職場でカレーパーティーをすることになり、具材を選ぶことになった「山村」。ライバルの「宮坂」に負けないために自分なりに具材探しの旅に出る。仕事を通して相手の喜ぶものを本気で考える「おもてなし」のストーリー。
「限界遠藤のおもてなしチャレンジ」- 柚木麻子 先生
変わった性格の友人「遠藤」からホームパーティーに誘われた。ブラック企業で勤める彼女を救ったのは昔脚光を浴びた本に書かれていたホームパーティーだった。友を救うためになぜか「おもてなし」をする側になっている「おもてなし」を創るストーリー。
「エデンの東」ー 小川哲 先生
読み手に知識と思考性を求める作品を作る小説家「小笠原」。担当編集の言葉から「読み手」を視野に入れながら物語を書き進めるストーリー。今作を読むともう一度最初から「あえのがたり」を読みたくなります。
「人新世爆発に関する最初の報告」ー 佐藤究 先生
貧しい漁村で暮らす主人公。鉛筆を手に入れることも難しく、海辺に打ち捨てられているプラスチックを使って何とかできないか考えます。そんな日常の延長線上にとんでもない真実が、、、。物語後半の急展開にずっとドキドキしっぱなしです。
「夢見の太郎」- 今村翔吾 先生
村の金持ちの下男「太郎」。太郎の元には自然と人が集まり、夢を語る。そんな中太郎は夢を持ちつつも決して夢を語らない。同じ事実ながらも、自分自身の思いと他人の思いの見え方の違いによって、人の感情は全く変わってくるように感じました。
能登の文化や地震に対して広い間口で描かれた物語たち
今作は能登の文化「あえのこと」や地震によって大切なものを失った人々に重なるところをテーマに広い間口を設けて物語が展開されています。
10名の先生方がそれぞれの思い、技法をもって紡がれていく物語には、同じテーマながらも独特な視点をもって展開されています。
ぜひ共通のテーマでありながらも、展開されていく物語の違いを楽しんでみてください。
まとめ
今回は10名の先生方による「あえのがたり」をご紹介いたしました。
(加藤シゲアキ先生、朝井リョウ先生、今村昌弘先生、蝉谷めぐ実先生、荒木あかね先生、麻布競馬場先生、柚木麻子先生、小川哲先生、佐藤究先生、今村翔吾先生)
同じテーマながらも、全く異なった切り口で描かれた作品たちをぜひ読んでみてください。
それでは良い読書ライフを!
『あえのがたり』(加藤 シゲアキ,今村 翔吾,小川 哲,佐藤 究,朝井 リョウ,柚木 麻子,荒木 あかね,今村 昌弘,蝉谷 めぐ実,麻布競馬場)|講談社
コメント