#34 生きることの窮屈さと空虚さを感じる少年。死期を痛感したことで見えたものとは。

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こんにちは!ピアノの曲は「月光」が好きなYUKIです。

今回は三田誠広先生の「いちご同盟」をご紹介していきたいと思います。

今作は生きることに疑問を持つ繊細な主人公「良一」と野球部のエースで女の子からもモテる「徹也」そして、悪性腫瘍によって体を蝕まれている女の子「直美」の3人の物語です。

「生きることに対して窮屈さ・空虚さを感じる」

「静と動の対比が表現されている物語が読みたい」

「因果応報ではない物語が読みたい」

そんな方におすすめの一冊です。

今作の主人公「良一」は生きることに窮屈さといずれ死ぬ運命から空虚さを感じています。そんな彼は若くして自殺してきた人たちに惹かれており、そんな折に死に直面している女の子「直美」に出会います。

主人公「良一」は控えめで繊細な性格の持ち主で言葉数も少ないです。その一方で、野球部のエースで女に子からもモテる「徹也」は自分の気持ちのままに言葉を発し行動する本能的な性格の持ち主です。

今作には印象的な人物が何人か登場します。主人公たちも含め、彼らはその時その時に自分の考えたままに行動します。その行動がどんな理由から起こしたものであろうとも、良い結果も悪い結果も訪れます。その理不尽さが現実感を帯びています。

今回は「いちご同盟」を3つのポイントにまとめて魅力をご紹介いたします。

  • 生きることの捉え方
  • 二人の人物から表現される静と動
  • 残酷なまでに因果のない現実

今作の主人公「良一」は繊細な心の持ち主で、若くして自殺した人たちに惹かれています。彼は生きることに対して路線が決まっているように感じる人生の窮屈さといずれ死ぬ運命になる空虚さを感じています。

また、今作に登場する「徹也」は野球部のエースで運動神経に優れ、女の子にもモテる主人公とは対照的な男の子です。「直美」という死期迫る女の子を真ん中にして、静の「良一」と動の「徹也」を描くことで、彼女の姿はくっきりと浮かび上がっていきます。

そして、「良一」「徹也」「直美」の他にも印象的な登場人物が何人か現れます。彼らのストーリーにも触れていきますが、彼らの過去とは関係なしに彼らには良い未来も悪い未来も訪れます。

思考して意味を考える生と現在進行形で生き生きと進み続ける生。どちらも同じく「生きる」ことながら、対比を描いた物語をぜひ読んでみてください。

魅力をもっと知りたい方はもうしばらくお付き合いください。

さっそく読んでみたい方はこちら。

生きることの捉え方

主人公「良一」はピアノが好きな男の子。彼はピアノの道を志しながらも親には反対されています。進学校に進み、安定した職業を進む、もしくはピアノの道を進み就職に困る。

決まりきったように感じる人生の道に窮屈さを感じながら、いつかは死んでしまうことに空虚さを感じています。

そんな彼は「徹也」の紹介で死期迫る女の子「直美」に出会います。彼女に出会うことによって「死」というものを強烈に感じた彼の心に変化が訪れます。

二人の人物から表現される静と動

今作の主人公「良一」は大人しい性格の持ち主で、発する言葉も少ないです。

一方で対比して描かれる「徹也」は野球部のエースで女の子にモテる、思ったことをはっきり言い、すぐに行動する本能的な気質の持ち主です。

そんな彼らは「直美」に対する接し方も真反対で、常に明るく話し続ける「徹也」に対して、言葉を発さない時もある「良一」。

彼らの関わりによって「直美」は様々な感情や言葉、行動をし、彼女の生きる姿を現していきます。

残酷なまでに因果のない現実

主人公の「良一」、エースでモテる「徹也」、病気が体を蝕み死期が近い「直美」。彼らだけでなく印象的な人たちが登場します。

彼らに漏れなく訪れる未来。その結末には今までの行動や言動など一切お構いなしに、良い結果も悪い結果も訪れます。

その容赦のなさが現実感を帯びており、物語がぐっと引き締まっています。

まとめ

今回は三田誠広先生の「いちご同盟」をご紹介いたしました。

生きることに窮屈さと空虚さを感じる主人公「良一」と対比として描かれる「徹也」。そして死期迫る「直美」の人生観。

そんな「生きる」ことを考えているうちにも進んでいく「生きる」こと。それは何の理由もなく良いことも悪いことも訪れます。

ぜひ彼らが「生きる」ことを考える姿と「生きる」ことを感じる姿を読んでみてください。

それでは良い読書ライフを!

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