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※この記事はネタバレを含みますので、お気を付けください。
※筆者の主観的な考えで書いておりますのであらかじめご承知おきください。
こんにちは。気づいたらずっと本を読んでしまうYUKIです。
今回は柊サナカさんの「谷中レトロカメラ店の謎日和 フィルム、時を止める魔法」をご紹介いたします。
こちらの作品は「谷中レトロカメラ店の謎日和」の2作目です。
なぜ、2作目なのか。1作目を紹介しないのは何故か、と申しますと
2作目だと全く知らずに1作目だと勘違いして読んでいたからです(笑)。
ちょっと知らない情報があるけど、途中で回収されるよね、と思いながら読んでいたら、回収されずに終わりました(笑)。
今すぐにでも1作目を読みたくて仕方ないです。
ただ、お話しの内容自体には全く問題なく本当にスラスラと読める作品です。
「心穏やかに読める平和な作品が読みたい」
「でもミステリー要素があってほしい」
「コレクター気質なところがあり、モノは大事に使いたい」
そんな方にはおすすめの一冊です。
この作品はレトロカメラ専門の中古・修理店でアルバイトをしている来夏とその店主の今宮が来店するお客さんがカメラとともに持ってくる謎に取り組んでいく、というお話しです。
今回は特に印象に残った以下の3点についてご紹介していきたいと思います。
- 物語全体を通して感じる穏やかさ
- 日常の中に現れる謎
- レトロカメラを通して知る「関わること」の大切さ
来夏、今宮はともに穏やかな性格で、そのおかげで物語全体にも穏やかな空気があります。
しかしこの作品の面白いところはミステリー要素がしっかりとあるので、穏やかな雰囲気はありつつも謎があることで、作品に締まりが生まれています。
また、この物語はレトロカメラ、しかも中古販売および修理のお店のお話しなので、モノを長く使う大切さを感じさせてくれます。
そしてそれは人との関わりにも通じ、大切な人との時間に触れる優しさと丁寧さを伝えてくれます。
ぜひ気になった方はこの後もしばらくお付き合いください。
物語全体を通して感じる穏やかさ
今作はレトロカメラ店のアルバイト「来夏」と店主「今宮」を中心として展開されるお話しです。
よく推理小説モノでは破天荒な探偵とそのサポートをするしっかりものの助手、みたいな構図を見かけますが、今作では2人とも穏やかでしっかりしています。
そのため、物語全体としても穏やかで、心安らいで読むことができます。
しかしキャラクターがぼやけることがないのは2人の内なる気持ちがしっかりしているからでしょうか。
来夏はお店のことが大好きで、お店を守るために怒ったり、泣いたりもします。
それが人間味があって一人の人間としての魅力をぐっと高めています。
また、今宮は物静かな雰囲気を出しつつも、一人の経営者としてのカメラを大切にする姿勢やそのために身を犠牲にする信念に心を打たれます。
日常の中に現れる謎
先ほどお話ししたように今作はレトロカメラ店の日常の中に現れる謎を解き明かしていくミステリーです。
そのため、「殺人事件が起きた!誰が犯人なんだ!」というよりは「こんな不思議なことがあって・・・。」というような内容です。
お金に困っているからカメラを売りに来る、大切なカメラを無くしてしまった、カメラ好きの認知症の方がいらっしゃる、どれも日常にありそうなお話しばかりです。
そこからミステリーが始まるので、日常から地続きにミステリーがあるように錯覚します。
ミステリーが日常に感じられるってワクワクしませんか?
ぜひこの感覚を味わっていただきたいです。
レトロカメラを通して知る「関わること」の大切さ
今作を読んで感じていたことに、関わることの繊細さとだからこそ大切にしていきたいと思える、ということがあります。
今作の話の中に店主の今宮が過去にある人のカメラを壊してしまった経験があります。
またそれを修理するといいながら、面倒に感じ買い直したことを後悔している描写があります。
大したカメラではなかったと自分が侮り、修理をせず新しく買い直し渡したことは、壊れてしまったら新しく買い直すという考え方で、修理をする者としては失格だと感じたのだと思います。
しかも修理を依頼された方からの信頼も壊してしまったのです。
新しいものは綺麗だったり性能が良かったりして魅力を感じます。また、今のままでいいのかな、もっと良い環境に身を置きたいと思い、今の周りにいる人たちに目が向けられない瞬間もあると思います。
でも、一度壊れてしまったものは完全に修復することはできませんし、時間もかかります。
だからといって急に大切にすることはできないかもしれませんが、ちょっと目を向けてみることはいいかもしれません。
今作は人との関わりもモノとの関わり方もとても繊細に描かれているので、より関わり方について考えるようになれると思います。
まとめ
今作は穏やかな雰囲気がありつつもしっかりとしたミステリーで謎を解く楽しさを感じられる作品だと思います。
また、レトロカメラを通して現れる謎を解くたびに、モノを長く使う繊細さ、そして人と関わることの丁寧さを感じました。
穏やかながらも、繊細に丁寧に人生を紡ぐ二人のお話しをぜひ読んでみてください。
それでは良い読書ライフを!
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