♯6 何でもない日常がキラキラしていたあの頃。学生時代を忘れてしまった方必読の一冊!

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こんにちは!本を読めば読むほど読みたくなるYUKIです。

今回は中村航先生の「さよなら、手をつなごう」をご紹介していきたいと思います。

今作は短編をまとめた作品で、それぞれのお話しにつながりはありません。

ですので、どのお話しから読んでもそれぞれのお話しを楽しむことができます。

「短編の青春ストーリーを楽しみたい」

「わからないながらも一生懸命だったこどもの頃を思い出したい」

「なんでもない日常だけど楽しかった学生生活が懐かしい」

このような方にはおすすめの一冊です。

短編のお話しがまとめられているので、時間が無い方でもさくさくと読み進めることができます。

今作は小学生から高校生にフォーカスを当てた物語で、大人になると「そんなことできないよ」と思っていることを一所懸命にするシーンがあります。そのシーンを読むと、昔はわからないことに、目をキラキラさせて取り組んでいたな、と気づかされます。

また、中学生や高校生のお話しでは本当に何でもない日常が切り取られていて、まるで学生の頃に戻ったような感覚になりました。

今回は「さよなら、手をつなごう」の魅力を以下の3点にまとめてご紹介いたします。

  • 短いからこそ楽しめる青春を切り取ったストーリー
  • わからないことばかりだけど一所懸命なキャラクター
  • 何でもない日常だけど、大切な思い出の学生時代を表現

今作の短編は作品の前後を描くことができそうなストーリーなのに、ばっさりとカットしているため物語の輪郭がはっきりと見えます。

また、わからないことばかりの中で一所懸命に行動するキャラクターたちには、懐かしさとともに、忘れていた感覚を思い出させてくれます。

そして、キャラクターたちの感情や日常の何気ない会話を、丁寧に描くことで、不安定な気持ちを抱えたまま、何でもない日常を送っていた学生時代をリアルに表現しています。

ぜひ気になった方はこの記事を読み進めていただければ幸いです。

短いからこそ楽しめる青春を切り取ったストーリー

今作は短編をまとめた作品になっており、だいたい50ページ前後にまとめられています。

そして何といっても、ストーリーをばっさりと切っているところが、前後関係を想像できて面白いです。

短編の中には急に物語が始まったり、「え、ここで終わりなの?!」と思うような終わり方をするものもあります。

すごく続きが気になるのですが、バッサリ切っているからこそ、キャラクターの心情の動きがくっきりとわかりやすく感じ、また、その後はこうなったのかなと想像するのも楽しみになります。

わからないことばかりだけど一所懸命なキャラクター

社会人になった今もわからないことばかりですが、小学生、中学生、高校生のころはもっとわからないことばかりです。

ですがわからないからこそ、キラキラして見えていたものもたくさんあって、それは好きなことだったり好きな人だったり、好きな遊ぶことだったり。

反対にわからないからこそ不安になったり怖くなったりして拒絶したり挫折したりしたこともあると思います。

でも全てにおいて学校という狭い環境や交友関係の中で、一生懸命だったことは間違いないと思います。

今作の登場人物たちは傍からみたら馬鹿にされるようなことでも、好きなことだからこそ一所懸命に取り組んでいたり、からかわれたくないけど、でも好きという気持ちを伝えたいことに悩んでいたりします。

その姿は自分に重なるように感じるところもあるのではないでしょうか。

何でもない日常だけど、大切な思い出の学生時代を表現

経験や知識が乏しいからこそ、不安に思ったり、期待を膨らませたりと感情豊かな登場人物たちの過ごす学生生活は本当に何でもない日常です。

ですがその日常にある何でもない時間の切り取り方がとてもリアルで、毎朝教室のドアを開けたときの視線を集める瞬間や好きな人が他の人と話しているところみたときの感情など、

本当に何でもないと言えば何でもないのですが、そのときを生きる人たちにとってはとても重要なことで、「そういえばそんなこと思ったりもしてたかな」と感傷に浸ることがあります。

友人とクラスで話したり、放課後に遊んだりした思い出は本当に宝物になりますし、

その中で笑ったり、怒ったり、悲しんだりしたことは今思い出すとキラキラしているように見えます。

今作の内容と自分の学生時代の思い出は違うはずなのに、リアルな表現がされていることで、雰囲気や感覚を近く感じることができ、自然と自分の学生のころを思い出してしまいます。

まとめ

今作は短編だからこそ、大胆にストーリーを切ることでくっきりとしていて読みやすい作品です。

短編のすべてが小学生、中学生、高校生にフォーカスを当てた内容で、わからないからこそ一所懸命に取り組むキラキラしたお話しばかりです。

また、何でもない日常をリアルに切り取ることで、自然に読んでいるこちらの学生時代を思い出させてくれる作品だと思います。

社会人になって数年、学生時代の頃を忘れかけている方には、ぜひ読んでいただきたい作品です。

それでは良い読書ライフを!

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