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こんにちは!シンプルに本が好きなYUKIです。
今回は成田名璃子先生の「ベンチウォーマーズ」を紹介していきたいと思います。
今作は運動部でありながらベンチのメンバーがくじ引きでクラス対抗駅伝に選ばれ、それぞれが持っている悩みと向き合いながら、時にメンバーたちの影響を受けあいながら成長していくお話しです。
「何かに一所懸命な青春の物語が読みたい」
「悶々と悩みを抱えながらも前に進もうとするポジティブな物語が読みたい」
「チームで何かを成し遂げる物語が読みたい」
そんな方にはおすすめの一冊です。
今作はただのクラスメイトだった5人が集まり、クラス対抗駅伝のために朝練をする物語です。
利益なんて関係なく、一所懸命に練習に取り組む姿には、社会を生きる大人にはまぶしいかもしれません。
また、高校生ながらも、いや高校生だからこそ持つ悩みをそれぞれ抱えながらも、乗り越えようとするエネルギーには、思わず懐かしさを覚える瞬間すらありました。
そして、何の関係もなかった5人がチームとしてタスキをつなぐために、努力する姿にはみんなで何かをする青春さを感じます。
今回は以下の3点にまとめて、「ベンチウォーマーズ」の魅力をご紹介していきたいと思います。
- 全力で取り組むことの熱さ
- 理想ではない等身大の自分を受け入れる素直さと前進し続けるエネルギー
- お互いが影響しあうことでする成長
今作では「駅伝」という一つのスポーツを通して、何かに全力で取り組むことの熱さを教えてくれます。周りには「何してるんだろう」と盛り上がらないことかもしれませんが、やはり全力で取り組む姿には心を動かさざるを得ません。
また、今作の登場人物は自分たちの悩みや問題を自分たちの認めたくない弱さを認めることで乗り越えていきます。その姿には思わず手を差し伸べたくなるシーンもありますが、それを越えていく彼らに思わず「すごい」と思ってしまいます。
そして時にメンバーの言葉や行動に影響を受けながら、彼らはどんどん成長していきます。それは本当に些細な一言なのかもしれませんが、意外と言われた本人には大切な言葉だったりして、それがとてもリアルに感じます。
ぜひ気になった方はポイントを深堀していきますので、よろしければ読んでみてください。
全力で取り組むことの熱さ
社会人になると「利益」という二文字がまずあって、なかなか手放しで一所懸命に取り組むことって少ないように感じますし、そもそも忘れているような気もします。
今作ではクラス対抗駅伝リレーに全く部活も違う5人が選ばれます。
しかも男女混合で男子3人に女子2人。けがをしてる人もいれば、太っていて走るのに向いていなさそうな人もいるし、なにより女子のうちの一人はマネジャーだから、普段メインで運動しているわけでもない。
性格も考え方もバラバラで、そもそもの話、そんなに会話をしたこともないから何を考えているのかもわからない。
そんな5人が駅伝の朝練という時間を通して、関わり合い、ケンカしたり励まし合いながら、完走を目指す姿には、目がつぶれそうなまぶしさがあります。
大人になると何をするにも「意味」を考えてしまって、結局に何をしたらいいのかわからない、なんてことたくさんあると思います。
でも「意味」なんて考えるよりも、与えられた問題をどうやったら乗り越えられるかを一所懸命考えて行動することが大事なんじゃないかと思わせてくれる、そんな作品です。
理想ではない等身大の自分を受け入れる素直さと前進し続けるエネルギー
学生の頃って
なんでもできるんじゃないかと自信たっぷりで、傲慢な態度をとったり
理想の自分になるために自分を着飾ったり
周りの人間関係に抑圧されていて、自信が無かったり
すごく極端で危なっかしいなと今では思うことがたくさんあります。
そしてそんなに極端だからこそ、壁にぶつかったときの衝撃は大きくて
「なんで自分の人生はこんなに悪いんだろう・・・」と思ってしまうのです。
ですが今作の登場人物たちはそこから、
本当は認めたくない自分、「こんなはずじゃないんだ」「本当はこうなんだ」という言い訳を
「俺はこうだから」「私はこうだから」と認める瞬間がたくさんあります。
自分の中にある理想と自分が持つ現実の差に違和感を感じても、埋めることは本当につらいことだと思います。
ですがその差を埋めるために、自分の弱さや歪さ、醜さを認め、そこから一歩進んでいく強さに心を打たれます。
お互いが影響しあうことでする成長
いろいろな問題や悩みを抱えている5人ですが、決して一人だけの力で解決しているわけではありません。
5人がお互い影響を受けあいながら、自分の中に、相手がくれた言葉や、してくれた行動の意味を考え、気づき成長していきます。
すごくリアルだなと思ったところが、決め台詞のようになっていないのです。
言っている側は何気ない日常の一言なのに、「確かにそうだよな」と妙に納得してしまう、そんなシーンが多くあります。
私たちの日常でも、そんなことは日常茶飯事だなと思いますが、相手にとっては何気ない一言が自分にとってすごく心に刺さる一言だったなんてことはよくあることです。
でもそういうことだよな、とも思いました。
「名言」みたいなものに心を動かされるよりも、きっと何気ない一言に救われることの方が多いんだろうなと。
まとめ
今作「ベンチウォーマーズ」は物事に一所懸命に取り組む熱さ、そして自分の理想と現実の間に悩みながらも、若さというエネルギーをもって進み、そしてお互いが影響を受けあいながら成長していくストーリーです。
社会人になると「そんなことに意味なんてないしな」「無駄なことをする余裕なんてないな」と思うことがどんどん増えてきます。
だからこそ意味もなく一所懸命に取り組むことって実はすごく貴重なんじゃないかなと思います。
そしてその活動こそが自分の現実を見つめる良い機会となり、成長することができるのだと思います。
ぜひ日々の生活に悶々と悩んでいたら、この「ベンチウォーマーズ」を読んでみてください。
何かに頑張っていたあの頃を思い出せるかもしれません。
それでは良い読書ライフを!
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