こんにちは!海岸線を車で走るのが好きなアウトドアな一面を持つYUKIです。
今回は吉村達也先生の「生きてるうちに、さよならを」をご紹介いたします。
今作は生前葬を知った主人公「本宮」は友人の葬儀で心のない人々が参列していることに嫌悪し、生前葬をすることを決めます。しかし、その直後、妻の「涼子」が病に侵されており、余命が少ないことを知ります。
「結婚してから20~30年ほどの夫婦の生活を描いた物語が読みたい」
「物語が進むたびに変わっていく人間の多面性を楽しみたい」
「情報を丁寧に積み上げた物語が読みたい」
こんな方にはおすすめの一冊です。
今作の主人公「本宮」は50代の上場企業の社長で、妻「涼子」との関係は冷え切っています。家庭内で浮いていると感じる彼はその寂しさを愛人の「さゆり」に求めます。
また、今作は「はじめに」と「おわりに」、そして第9章からなる物語です。各章で明かされる真実を知るたびに登場人物たちの見え方が変わってきます。
物語に登場する人物や情報は洗練されていて、一つ一つ出てくるお話しが最後綺麗にまとめられていきます。
今回は「生きてるうちに、さよならを」を以下の3つのポイントにまとめて魅力をご紹介いたします。
- 長い夫婦生活を続けていくうちに冷えていく男の感情
- 真実を知るたびに見え方が変わる人物像
- 洗練された情報を積み上げた物語
元々見合い結婚だったため、激しい恋愛感情を抱かないまま結婚をした「本宮」。いつしか妻への愛も薄れ、孤立した家庭での立場から愛を外へと求めます。
そんな彼は妻が余命少ないことをきっかけに自分の今までの自分の行動や考え、そしてその変化に向き合い苦しみ始めます。またその中で様々な真実が明らかにされ、登場人物の印象にも変化が表れ始めます。
そして今作では一つ一つの出来事に意味があると感じるほど、情報が洗練されています。ばらばらにばらけていた情報が最後にまとめ上げられたとき一種の爽快感を感じます。
「本宮」が妻の死を意識することで向き合い始めた自分と解き明かされていく真実をぜひその目で確かめてみてください。
今作の魅力をもっと知りたい方はもうしばらくお付き合いください。
さっそく読んでみたい方はこちら。
長い夫婦生活を続けていくうちに冷えていく男の感情
今作の主人公「本宮」は零細企業だった会社を一代で上場させた凄腕の経営者。しかし、家庭では妻、息子、娘に対して向き合うことをせず、一人孤独を感じています。
そんな彼は外に愛を求め、愛人を作ることを止めません。そして、ついに本当に愛を注げる相手「さゆり」と出会います。
さゆりは黙って一歩下がるような女性ではなく、本質的な言葉をまっすぐに投げかけてくれる女性です。
さゆりのそんな魅力に「本宮」はだんだんとのめりこんでいきます。
今作では結婚生活を続けていった夫婦の一つの終着点を描いているように感じました。
真実を知るたびに見え方が変わる人物像
生前葬と友人の葬式で心ない参列者を知った「今宮」が自分は生前葬をしようと考えます。
まさに「生きてるうちに、さよならを」。そんなことを考えていた彼ですが、妻の「涼子」が重い病に侵され余命短いことを知ります。
改めて自分の妻へ対する行動を客観的に見つめ直した時、激しく後悔と申し訳なさがこみ上げてきます。
そして彼は自分の周りの人間に対してアクションを起こしていくのですが、、、。
妻を大切に思う行動をしていくうちに、「今宮」を取り巻く真実が次々と明らかになり、印象がどんどんと変わっていきます。
洗練された情報を積み上げた物語
今作では「今宮」、「涼子」、「さゆり」だけでなく、秘書や腹心の従業員、子供たちなど様々な人物が登場します。
その関係性や行動一つ一つがしっかりと裏打ちされており、しっかりと積み上げられている印象を覚えました。
意味もないような言葉も最後まで読むと、意外なところでつながっており、感動を覚えます。
最後まできれいにまとめ上げられた物語をぜひ読んでみてください。
まとめ
今回は吉村達也先生の「生きてるうちに、さよならを」をご紹介いたしました。
経営者であり、家族に向き合わず愛人と過ごす「今宮」。妻の余命に短さを知ったときに、「今宮」を取り巻く真実が明らかになっていきます。
ぜひ人への愛を考えさせられる今作をぜひ読んでみてください。
それでは良い読書ライフを!
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