#46 互いを想うことで考える「生きること」。交換日記を通して時を越える二人。

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こんにちは!交換ノートってすごく特別にドキドキするイベントなのではと思うYUKIです。

今回は天沢夏月先生の「八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている。」をご紹介いたします。

あらすじ

感情があまり表にでない男の子「成吾」は高校生の時に付き合っていた女の子「透子」を大学生になった今でも忘れられずにいた。

「透子」は心臓に持病を持ち、そしてそのことが原因で亡くなった。

久々に地元に帰ってきた「成吾」は「透子」の部屋で見つけた交換日記を通じて、過去の彼女と会話ができることを知る。

こんなこと思ってたらぜひ読んでみて!

「切ない恋愛ストーリーが好き。特に運命をもし変えられたら、、、というようなストーリーが好み」

今作は彼女を亡くし心を閉ざしている「成吾」のストーリーです。

交換日記を通して過去の彼女と会話をし、彼女の運命を変えられるかもと小さな希望を抱きます。

「人と関わること、生きることってなんだろうと考えることがある」

心臓に病がある「透子」は友人がいません。

彼女が「成吾」と関わっていくことで人と関わること、そして生きることに実感を持つようになります。

読んでみて思う今作の魅力

「八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている。」の魅力は「生きることに向き合う」だと思います。

今作は心臓に病がある「透子」と純真な心を持つ男の子「成吾」のストーリーです。

心臓に病があるからと言って明日いなくなってしまうわけではない。

しかし、常に「死」というものを意識せざるを得ない状況ではあるのです。

「成吾」は「透子」を通して人が生物的に「生きる」ことを意識的に考えるようになります。

そして、「透子」も愛することを知り精神的に「生きる」ことに実感するようになります。

二人の想いが触れ合っていくうちに彼らは「生きること」の意味がだんだんと見えてくるようになります。

もしかしたら私たちは人と関わっていくことで「生きること」の答えを見つけていくのかもしれません。

読了した方と語りたい話 ※ネタバレを含みます

※ここからは今作を読まれた方とこんな話をしたいなと思い書いています。

※ネタバレを含みますので、読了されてから読むことをおすすめいたします。

前述の通り、今作の魅力は「生きること」だと思います。

心臓の病を抱える「透子」を通して「成吾」は命というものを考えるようになります。

また、「透子」は「成吾」を通して愛することを知り「心が生きること」を知るようになったのだと思います。

以下は今作のテーマが「生きること」だと私が感じたポイントです。

「透子」が「成吾」に預けた過去のペースメーカー

「透子」から過去に使用していたペースメーカーをもらった時「成吾」は命の重さについて実感していました。

物質的な重さというのは実感しやすいと思いますし、彼はより「透子」の命の儚さを感じたのだと思います。

気を遣われていることで生まれない友情

「透子」はクラスメイトと心を交わすことができませんでした。

それは心臓の病を持っているために気を遣われていたからです。

たとえ気遣われていることで日常生活に支障が生まれなかったとしても、

彼女が求めていたのは何気ない日常であり、彼女が言う普通の女の子としてみてくれる存在だったのだと思います。

死ぬとわかっていながら海に飛び込むこと

死ぬとわかっていながら行動することほど怖いことはなかなかないと思います。

それでも行動することは自分がどう「生きたいか」ということなのではないでしょうか。

「透子」自身は自分の生きる意味を感じていたのだと思いますし、「成吾」に対してもそういう自分でありたかったのだと思います。

ですが、取り残された「成吾」のやるせなさを思うと辛すぎると思ってしまいます。

大学生となった「成吾」は「透子」を失った喪失感から抜け出せずにいましたが、不思議な交換ノートを通じて心を救えたことは本当に良かったと思います。

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