#82 居合わせたのはただの偶然。顔も思い出せない人びとの同じターニングポイント。

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こんにちは!定刻通りに到着する電車ってあらためて考えるとすごいなと思うYUKIです。

今回は阿川大樹先生の「終電の神様」をご紹介いたします。

あらすじ

終電も近づく夜の電車。

そこに乗り込む人々たちに悲劇が。

事故による緊急停止。

家に帰るため、想いを告げるため、大切な人に会いに行くため。

乗り込んだ理由は違えども、みな同じように振舞う満員電車のなかで、彼らの運命の車輪が回りだす。

こんなこと思ってたらぜひ読んでみて!

満員電車にうんざりしている

「終電の神様」は夜の満員電車を舞台にした作品です。

みな同じように黙って、スマホを見たり、音楽を聴いたり、本を読んだりしています。

没個性的な空間ですが、一人ひとりには大切な家族や友人、大切な仕事・趣味があります。

そんな彼らにフォーカスを当ててみると、魅力的なお話しがいくつか湧き出てきます。

ぜひ無表情に振舞っている彼らの表情豊かな人生を読んでみてください。

読んでみて気づいた魅力

同じ場所にいたとしても、人生がまったく違う

父の容態が気になるため、一刻も早く病院へ向かいたい男性。

納期が絶望的ながらも心も体もボロボロなエンジニア。

痴漢に襲われそうな美人。

まったく異なる人生を歩んでいる人びと。

ある夜の満員電車に起きた急停止。

その瞬間に彼らの時間と場所が重なり合います。

彼らが居合わせたのはただの偶然にしかすぎません。

しかしこの奇跡的な瞬間に意味や共通性を見出そうとしてしまう。

そしてなぜか同じ境遇というだけで親しみを持ってしまうんですよね。

読了した方と語りたい話 ※ネタバレを含みます

※ここからは今作を読まれた方とこんな話をしたいなと思い書いています。

※ネタバレを含みますので、読了されてから読むことをおすすめいたします。

赤い絵の具の女の子のメタ思考

「第六話 赤い絵の具」に登場する「嵯峨野仁美」。

彼女がいじめを受けたのち、いじめが落ち着いた理由の一つとして「周囲がわかりやすい理由をみつけてくれた」と考えているシーンがあります。

この一言が物語全体を表しているなと感じました。

いわば満員電車に詰め込まれた人々の車内で振舞う姿は誰もが納得できる一面です。

一方で彼らの日々を見つめてみると、理解できない一面がたくさん出てきます。

誰もが理解しやすい一面は、まったく浅い部分でしかなく、その人の本当の魅力は時間をかけてみつめないと理解できない部分ではないのでしょうか。

「終電の神様」に登場する人物たちは「一般人」と言って差し支えのない人たちばかりですが、たった一人とも重ならない個性を持つ魅力的な存在でした。

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